民泊ゲストのパスポート確認義務は?本人確認の方法と記録保存Q&A
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民泊ゲストのパスポート確認とは、宿泊者(特に外国人)の本人確認を法令に基づいて行い、その記録を一定期間保存する義務のことです。民泊や簡易宿所を運営する際、「外国人には必ずパスポートを見せてもらわなければならないの?」「写真を撮っておくだけで大丈夫?」という疑問を持つ方は少なくありません。この記事では、住宅宿泊事業法・旅館業法それぞれの制度における本人確認義務の有無、確認方法、記録の様式と保存期間をQ&A形式で整理します。開業前の事前確認や、現在の運営方法の見直しにお役立てください。
Q1. 民泊(住宅宿泊事業)に本人確認義務はあるの?
住宅宿泊事業法では、外国人宿泊者に対して旅券(パスポート)の提示を求め、その内容を確認する義務が事業者(住宅宿泊事業者)に課せられています。これは「努力義務」ではなく法的な義務です。
具体的には、住宅宿泊事業法第13条において、外国人観光旅客である宿泊者に対し、旅券の提示を求めて氏名・国籍・住所・旅券番号などを確認し、宿泊名簿に記載しなければならないとされています。外国人だけでなく、日本人宿泊者についても宿泊名簿への記載義務があります(氏名・住所・職業など)。
なお、日本人宿泊者に対してパスポートの提示を求める法的義務はありませんが、身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)で本人確認を行うことが一般的です。確認方法の詳細については、各都道府県の担当窓口で最新情報を確認してください。
Q2. 旅館業法(簡易宿所)でも同様の義務がある?
旅館業法においても、外国人宿泊者に対するパスポート確認と宿泊名簿への記載義務があります。旅館業法第6条に基づき、旅館・ホテル営業・簡易宿所営業のすべての形態において、宿泊者名簿の作成と保存が義務づけられています。
旅館業法では外国人宿泊者に関し、旅券番号・国籍・氏名・住所などの情報を名簿に記載することが求められます。また、警察官や保健所職員などの権限ある行政機関が求めた場合は、宿泊者名簿を提示しなければなりません。
住宅宿泊事業法と旅館業法では根拠条文が異なりますが、「外国人にはパスポートを確認して名簿に記録する」という基本的な義務の内容はほぼ共通しています。ただし、細かい要件や様式は自治体によって異なる場合があるため、必ず地元の自治体・保健所に確認してください。
確認方法はどうすればいい?対面・オンライン別の実務
本人確認の方法は、チェックインの形態(対面・非対面)によって対応が変わります。それぞれの場面での一般的な対応方法を整理します。
対面チェックインの場合
ゲストがチェックイン時に直接来訪する場合、その場でパスポートの原本を目視確認します。確認すべき情報は次のとおりです。
- 氏名(ローマ字・本文表記)
- 国籍
- 旅券番号
- 有効期限
- 住所(記載がある場合)
これらを宿泊名簿に記入するか、パスポートのコピー(写真)を取って保管します。パスポートのコピーを取る場合は、個人情報の取り扱い方針(プライバシーポリシー)をゲストに明示することが望ましいです。
非対面・セルフチェックインの場合
スマートロックや鍵ボックスを使ったセルフチェックインでは、対面でのパスポート確認ができません。この場合、以下の方法が実務上よく使われています。
- チェックイン前のオンライン申請: 予約確定後、チェックイン前にパスポートの写真データ(スキャン・スマートフォン撮影)をメール・メッセージで送付してもらう
- OTAの本人確認機能の活用: Airbnbなどの大手OTAが提供している本人確認(ID確認)機能を利用し、プラットフォーム上で確認済みの情報を参照する
- チェックイン前提出フォーム: 独自のウェブフォームやPDFフォームに宿泊者情報を入力してもらい、パスポート画像も添付してもらう
非対面チェックインでも本人確認義務が免除されるわけではありません。方法がいかなる場合でも、パスポート情報を確認・記録しておくことが求められます。ゲストへの案内文作成は ゲスト案内文生成 ツールも活用できます。
Q3. 宿泊名簿に記載すべき項目は?様式に決まりはある?
宿泊名簿の様式に法令で定められた統一書式はありませんが、記載が必要な項目は法令によって定められています。独自の様式を作成することが可能です。
日本人宿泊者に必要な記載事項
- 氏名
- 住所
- 職業
- 連絡先(電話番号など)
- 宿泊期間
外国人宿泊者に必要な記載事項
- 氏名
- 国籍
- 旅券番号
- 住所(国内連絡先または本国住所)
- 宿泊期間
- 職業(旅館業法の場合は求められることがある)
住宅宿泊事業法と旅館業法では求められる項目に若干の違いがある場合があります。また、都道府県・市区町村の条例によって追加項目が定められているケースもあります。自治体の窓口か公式ウェブサイトで提供されているサンプル様式を参考にするか、保健所に問い合わせて確認することをおすすめします。
名簿はエクセルや専用アプリで作成・保存しても差し支えありません。紙か電磁的記録(デジタル)かは問われない場合がほとんどですが、こちらも自治体に確認してください。
Q4. 宿泊名簿の保存期間はどれくらい必要?
宿泊名簿の保存期間は、住宅宿泊事業法では宿泊日から3年間、旅館業法では宿泊日から3年間が一般的な基準とされています。ただし自治体によって異なる場合があるため、必ず確認が必要です。
「もう来ないゲストだから捨てていい」という判断は禁物です。警察や行政からの照会に対応できるよう、定められた期間はしっかり保存しておきましょう。デジタルで保管する場合でも、データが破損・消失しないようクラウドストレージなどにバックアップを取っておくことをおすすめします。
制度 | 根拠法令 | 保存期間の目安 | 記録様式 |
|---|---|---|---|
民泊(住宅宿泊事業) | 住宅宿泊事業法 | 3年間(宿泊日から) | 任意様式可(紙・電磁的記録) |
簡易宿所・旅館 | 旅館業法 | 3年間(宿泊日から) | 任意様式可(紙・電磁的記録) |
※保存期間・様式の詳細は自治体・保健所によって異なる場合があります。必ず所管窓口に確認してください。
Q5. パスポートのコピーを取るのは個人情報保護の観点から問題ない?
パスポートのコピー(写しの取得・保管)は、法令上の本人確認義務を果たすための正当な目的があるため、個人情報保護法上、適切に管理することを前提に問題ありません。ただし、取得した個人情報の管理には十分な注意が必要です。
個人情報保護法の観点から、事業者は以下の点に留意してください。
- 利用目的の明示: パスポート情報を「宿泊名簿への記載・法令に基づく本人確認」のために取得することをゲストに伝える
- 安全管理措置: 取得したコピーやデジタルデータは鍵のかかる場所・パスワード保護されたフォルダで管理する
- 目的外使用の禁止: 取得した個人情報を本人確認・名簿管理以外の目的(マーケティング等)に使用しない
- 適切な廃棄: 保存期間を過ぎたデータは適切に廃棄・削除する(紙はシュレッダー、デジタルは完全削除)
外国人ゲストに対しても、チェックイン時や予約確定メッセージの中で「旅券情報は法令に基づく本人確認のためにのみ使用します」と英語等で案内することが信頼構築につながります。
違反した場合のリスクと注意点
宿泊名簿の不作成・虚偽記載・不保存は、住宅宿泊事業法・旅館業法のいずれにおいても行政処分の対象となりえます。具体的なリスクを確認しておきましょう。
- 行政指導・改善命令: 保健所や自治体から是正を求められる場合がある
- 営業停止・許可取消: 繰り返し違反や悪質な場合は、営業停止や旅館業法の許可取消につながる可能性がある
- 罰則(旅館業法): 旅館業法では名簿不作成等に対して罰則規定が設けられている
- 住宅宿泊事業の届出取消: 住宅宿泊事業法においても、法令違反が続く場合は届出の廃止命令が出される可能性がある
「外国人ゲストが来たとき何となく対応する」のではなく、チェックインフローの中に本人確認のステップを組み込んでおくことが重要です。運営開始前に開業可否診断で自身の物件に必要な要件を整理しておくことも役立ちます。
【ワンポイント】民泊の運営代行会社に管理を委託する場合でも、宿泊名簿の作成・保存義務は事業者(届出者・許可者)にあります。委託先任せにせず、名簿が適切に作成・保管されているか定期的に確認しましょう。
まとめ
民泊・簡易宿所における外国人ゲストのパスポート確認は、住宅宿泊事業法・旅館業法のいずれにおいても法的義務です。日本人宿泊者も含めた宿泊名簿の作成と、宿泊日から3年間(目安)の保存が求められます。
実務上のポイントを改めて整理します。
- 外国人宿泊者にはパスポートの提示を求め、氏名・国籍・旅券番号等を宿泊名簿に記録する
- 非対面チェックインでも義務は免除されない。チェックイン前にデータ送付を依頼するなど代替手段を整備する
- 宿泊名簿の様式は任意だが、記載項目は法令・条例に従う
- 取得した個人情報(パスポートコピー等)は個人情報保護法に則って適切に管理・廃棄する
- 保存期間・細かい要件は自治体によって異なるため、必ず地元の保健所・担当窓口に確認する
本人確認フローを整備することは、コンプライアンスの確保だけでなく、ゲストへの信頼性向上にもつながります。開業前後で不安な点があれば、早めに所管の自治体窓口へ相談することをおすすめします。
※本記事は一般的な情報の整理であり、法令・条例の要件や市場の状況は地域・時期・物件により異なります。実際の開業・運営にあたっては、必ず管轄の自治体・保健所・消防署および専門家にご確認ください。
この記事の内容を確認できる公式情報
制度の要件は自治体・時期により異なります。最新かつ正確な情報は、以下の一次情報でご確認ください。
- 民泊制度ポータルサイト(観光庁・厚生労働省)住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出制度
- 生活衛生関係(厚生労働省)旅館業法の許可・衛生基準
- 総務省消防庁消防用設備・防火管理の基準
- e-Gov法令検索法令の条文
監修・執筆
民泊開業ラボ 編集部
民泊開業ラボ 編集部
民泊・小規模ホテルの開業と運営の実務情報をお届けします。
よくある質問
民泊(住宅宿泊事業)に本人確認義務はあるの?
旅館業法(簡易宿所)でも同様の義務がある?
宿泊名簿に記載すべき項目は?様式に決まりはある?
宿泊名簿の保存期間はどれくらい必要?
パスポートのコピーを取るのは個人情報保護の観点から問題ない?
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