許認可・法律

民泊の宿泊者名簿、紙とデジタルどちらが有効?保存形式・期間・行政提示Q&A

2026.08.08

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民泊の宿泊者名簿、紙とデジタルどちらが有効?保存形式・期間・行政提示Q&A

民泊の宿泊者名簿とは、宿泊者の氏名・住所・連絡先などを記録し、法令に基づいて保管・提示義務が課される台帳のことです。住宅宿泊事業法(民泊新法)や旅館業法を根拠とするこの義務は、開業後すぐに実務で直面するにもかかわらず、「紙じゃないとダメ?」「スマホの画面を見せればいい?」と疑問を持つ方が多いテーマです。この記事では、保存形式の法的根拠・保存期間・行政への提示方法をQ&A形式で具体的に解説します。

宿泊者名簿の義務根拠はどの法令?

民泊の形態によって根拠となる法令が異なります。まず適用される法律を確認しておきましょう。

  • 住宅宿泊事業法(民泊新法):年間180日以内の民泊届出施設に適用。同法第8条により、宿泊者名簿の作成・備え付け・保存が義務付けられています。
  • 旅館業法:簡易宿所・ホテル・旅館など都道府県知事(政令市等は市長)の許可を受けた施設に適用。同法第6条の2により、宿泊者名簿の備え付けが義務付けられています。
  • 国家戦略特区民泊(特区民泊):旅館業法の特例として認定自治体ごとに条例が定められており、名簿義務の詳細も自治体によって異なります。

いずれの法令も「名簿を作成し、備え付けること」を求めていますが、保存形式(紙かデジタルか)を明示的に限定している条文はありません。この点が「どちらでも有効」という解釈の根拠になっています。ただし、自治体の運用指針や条例で追加要件が設けられているケースがあるため、必ず管轄の保健所や都道府県窓口への確認をお勧めします。

紙とデジタル、どちらが法的に有効?

結論として、紙・デジタルのどちらも法的に有効です。住宅宿泊事業法・旅館業法ともに、名簿の様式を「紙に限る」とは規定していません。国土交通省が公表している住宅宿泊事業法の解釈運用指針においても、電磁的記録による作成・保存が認められています。

紙(書面)保存のメリット・デメリット

  • メリット:行政担当者が来訪したとき、その場で即座に提示しやすい。停電・通信障害の影響を受けない。
  • デメリット:収納スペースが必要。大量になると検索・集計に手間がかかる。遠隔地オーナーが複数施設を管理する場合に不便。

デジタル(電磁的記録)保存のメリット・デメリット

  • メリット:クラウド上に保管すれば場所を選ばずアクセスできる。検索・バックアップが容易。OTAや管理ツールと連携して自動入力できる場合がある。
  • デメリット:行政提示の際にデバイスやネット環境が必要。データ消失リスクへの対策(定期バックアップ)が必須。セキュリティ対策(アクセス制限・暗号化)を事業者自身が担う必要がある。

保存期間はどのくらい必要?

住宅宿泊事業法に基づく届出民泊では、宿泊日から起算して3年間の保存が必要です(住宅宿泊事業法施行規則)。旅館業法については、保存期間を直接定めた条文はないものの、旅館業法施行規則および各都道府県の条例・指導により、2〜3年間の保存を求めるケースが一般的です。

保存期間は法令の最低ラインであり、自治体の条例や行政指導でより長い期間を求められる場合もあります。開業前に管轄窓口へ確認し、余裕をもって保存する体制を整えておきましょう。

法令区分

保存期間の目安

根拠

住宅宿泊事業法(民泊新法)

3年間

住宅宿泊事業法施行規則

旅館業法(簡易宿所等)

2〜3年間(自治体により異なる)

旅館業法施行規則・各自治体条例

特区民泊

認定自治体の条例による

各自治体の認定条例

行政が来たとき、デジタル名簿はどう提示する?

デジタルで保存している場合、行政担当者の立入検査時には画面上で閲覧できる状態にして提示するか、印刷して手渡すのが実務上の対応です。住宅宿泊事業法では「宿泊者名簿を備え付け、当該職員の求めがあれば提示しなければならない」と規定しており、「紙で提出すること」までは求めていません。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 担当者が来訪した時点でネットワーク障害やデバイスの不具合があると提示できず、義務違反とみなされるリスクがある
  • 自治体によっては「書面での提出」を慣行として求めるケースがある
  • 必要な情報(氏名・住所・職業・連絡先・宿泊日等)がすべて記録されているか、事前にフォーマットを確認しておく

万全を期すなら、クラウド上のデジタル原本を主として管理しつつ、定期的にPDFやCSVへ出力してバックアップを取る運用がおすすめです。リスク分散の観点から紙への印刷を月次などで行っておくと安心です。

名簿に記載すべき項目は何?

住宅宿泊事業法施行規則・旅館業法施行規則に定められた記載事項は以下のとおりです。フォーマットは自由ですが、すべての項目を漏れなく記録する必要があります。

住宅宿泊事業法(民泊新法)の必須項目

STEP

  1. 1宿泊者の氏名
  2. 2住所
  3. 3職業
  4. 4宿泊日
  5. 5外国人の場合:国籍・旅券番号(パスポート番号)

旅館業法の必須項目

  1. 宿泊者の氏名
  2. 住所
  3. 職業
  4. 宿泊日
  5. 外国人の場合:国籍・旅券番号・同伴者の人数

外国人宿泊者に対しては、旅券(パスポート)の提示を求め、旅券番号を記録する義務があります。本人に旅券を見せてもらい、番号を手入力またはカメラで読み取ってデジタル記録する方法が実務では一般的です。旅券のコピーを保存することの可否については個人情報保護の観点から管轄窓口に確認することを推奨します。

名簿のフォーマット作成に迷う場合は、ハウスルール自動生成ツールも活用できますが、名簿の法定要件はご自身で確認のうえ盛り込んでください。

実務運用でよくある疑問Q&A

Q1. OTAで取得した予約情報をそのまま名簿に使えますか?

Airbnbや楽天トラベル、Booking.comなどのOTAで収集した宿泊者情報は、名簿の基礎データとして利用できます。ただし、法定の記載項目(職業・旅券番号など)がOTAの予約フォームに含まれていない場合、チェックイン時に別途収集する必要があります。OTAのメッセージや専用フォームを活用して事前に回収するか、チェックイン時に紙のカードへ記入してもらう運用が現実的です。ゲスト案内文生成ツールを使えば、チェックイン前に必要事項を案内するメッセージを効率的に作れます。

Q2. スマートロックのゲスト情報を名簿代わりにできますか?

スマートロックのログ(入室日時・使用したアカウントなど)は、名簿の法定記載項目を満たしていないため、単独では名簿の代替になりません。あくまで補助的な記録として位置づけ、別途法定項目を記録した名簿を作成・保存する必要があります。

Q3. 名簿を紛失・誤削除してしまったらどうなりますか?

宿泊者名簿の未備え付け・未保存は、住宅宿泊事業法では報告徴収・立入検査の対象になり、悪質な場合は業務停止命令や届出廃止処分につながる可能性があります。旅館業法でも同様に罰則規定が設けられています。デジタル保存の場合は定期的なバックアップとアクセス権管理が特に重要です。

Q4. セルフチェックイン(無人運営)でも名簿は取れますか?

取れます。チェックイン前にゲストへ専用フォーム(Webフォームやメールの返信)で記入・送信してもらう方法が広く使われています。ただし、外国人宿泊者の旅券番号確認はオンラインでは難しいケースもあるため、旅券画像の送付を依頼するか、スマートロックの暗証番号を旅券確認後に発行する設定にするなどの工夫が必要です。個人情報の取り扱い方針(プライバシーポリシー)の整備も合わせて検討してください。

Q5. 宿泊者が名簿記入を拒否した場合はどうすればよいですか?

旅館業法では、宿泊者が名簿への記入を拒否した場合、宿泊を断ることができると規定されています(旅館業法第5条)。名簿は感染症対策・犯罪防止・行政への説明責任のための重要な義務であることをゲストに丁寧に説明し、理解を求めることが先決です。それでも応じない場合は宿泊拒否が法的に認められる旨を把握しておきましょう。

無人・遠隔運営で名簿管理が負担なら

宿泊者名簿の収集・管理は、特にセルフチェックイン物件や複数拠点を運営している場合、思った以上に手間がかかります。フォームの設計、外国人対応、バックアップ運用、行政提示時の対応まで考えると、専門知識と継続的な管理コストが必要です。

自分で対応するか、運営のプロに任せるかを判断したい方は、運営代行会社の無料紹介をご活用ください。名簿管理を含む法令遵守体制のサポートを行っている代行会社を、物件の規模・エリアに合わせて紹介しています。

また、開業前の費用感を整理したい方には開業費用シミュレーターも参考になります。

まとめ

宿泊者名簿の保存形式について、この記事のポイントを整理します。

  • 紙・デジタルどちらも法的に有効。住宅宿泊事業法・旅館業法ともに保存形式を紙に限定していない
  • 保存期間は民泊新法で3年間(施行規則による)。旅館業法は自治体により2〜3年が目安
  • 行政提示は画面表示・印刷のどちらでも対応できるが、デジタル運用はバックアップとセキュリティ対策が必須
  • 記載項目は法令で定められており、フォーマット自由でも全項目を漏れなく記録する必要がある
  • 外国人宿泊者の旅券番号収集は義務であり、無人運営でも確認手段を整備することが重要

法令の詳細や自治体独自の要件については、必ず管轄の保健所・都道府県窓口・市区町村の住宅宿泊事業担当課に確認してください。本記事の内容は一般的な解説であり、個別の法的判断については専門家(行政書士等)への相談をお勧めします。

※本記事は一般的な情報の整理であり、法令・条例の要件や市場の状況は地域・時期・物件により異なります。実際の開業・運営にあたっては、必ず管轄の自治体・保健所・消防署および専門家にご確認ください。

この記事の内容、プロに任せるという選択もあります

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この記事の内容を確認できる公式情報

制度の要件は自治体・時期により異なります。最新かつ正確な情報は、以下の一次情報でご確認ください。

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監修・執筆

民泊開業ラボ 編集部

民泊開業ラボ 編集部

民泊・小規模ホテルの開業と運営の実務情報をお届けします。

よくある質問

宿泊者名簿の義務根拠はどの法令?
民泊の形態によって根拠となる法令が異なります。まず適用される法律を確認しておきましょう。 住宅宿泊事業法(民泊新法):年間180日以内の民泊届出施設に適用。同法第8条により、宿泊者名簿の作成・備え付け・保存が義務付けられています。旅館業法:簡易宿所・ホテル・旅館など都道府県知事(政令市等は市長)の許可を受けた施設に適用。同法第6条の2により、宿泊者名簿の備え付けが義務付けられています。国家戦略特区民泊(特区民泊):旅館業法の特例として認定自治体ごとに条例が定められており、名簿義務の詳細も自治体によって異なります。
紙とデジタル、どちらが法的に有効?
結論として、紙・デジタルのどちらも法的に有効です。住宅宿泊事業法・旅館業法ともに、名簿の様式を「紙に限る」とは規定していません。国土交通省が公表している住宅宿泊事業法の解釈運用指針においても、電磁的記録による作成・保存が認められています。
保存期間はどのくらい必要?
住宅宿泊事業法に基づく届出民泊では、宿泊日から起算して3年間の保存が必要です(住宅宿泊事業法施行規則)。旅館業法については、保存期間を直接定めた条文はないものの、旅館業法施行規則および各都道府県の条例・指導により、2〜3年間の保存を求めるケースが一般的です。 保存期間は法令の最低ラインであり、自治体の条例や行政指導でより長い期間を求められる場合もあります。開業前に管轄窓口へ確認し、余裕をもって保存する体制を整えておきましょう。
行政が来たとき、デジタル名簿はどう提示する?
デジタルで保存している場合、行政担当者の立入検査時には画面上で閲覧できる状態にして提示するか、印刷して手渡すのが実務上の対応です。住宅宿泊事業法では「宿泊者名簿を備え付け、当該職員の求めがあれば提示しなければならない」と規定しており、「紙で提出すること」までは求めていません。 ただし、以下の点に注意が必要です。
名簿に記載すべき項目は何?
住宅宿泊事業法施行規則・旅館業法施行規則に定められた記載事項は以下のとおりです。フォーマットは自由ですが、すべての項目を漏れなく記録する必要があります。
OTAで取得した予約情報をそのまま名簿に使えますか?
Airbnbや楽天トラベル、Booking.comなどのOTAで収集した宿泊者情報は、名簿の基礎データとして利用できます。ただし、法定の記載項目(職業・旅券番号など)がOTAの予約フォームに含まれていない場合、チェックイン時に別途収集する必要があります。OTAのメッセージや専用フォームを活用して事前に回収するか、チェックイン時に紙のカードへ記入してもらう運用が現実的です。ゲスト案内文生成ツールを使えば、チェックイン前に必要事項を案内するメッセージを効率的に作れます。
スマートロックのゲスト情報を名簿代わりにできますか?
スマートロックのログ(入室日時・使用したアカウントなど)は、名簿の法定記載項目を満たしていないため、単独では名簿の代替になりません。あくまで補助的な記録として位置づけ、別途法定項目を記録した名簿を作成・保存する必要があります。
名簿を紛失・誤削除してしまったらどうなりますか?
宿泊者名簿の未備え付け・未保存は、住宅宿泊事業法では報告徴収・立入検査の対象になり、悪質な場合は業務停止命令や届出廃止処分につながる可能性があります。旅館業法でも同様に罰則規定が設けられています。デジタル保存の場合は定期的なバックアップとアクセス権管理が特に重要です。

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