民泊の収支シミュレーション|売上から手残りまで計算
この記事には広告・アフィリエイトリンクが含まれる場合があります。掲載内容は編集方針に基づき、宿泊オーナーにとって有益な情報を提供することを目的としています。
民泊の収支シミュレーションとは、「宿泊単価(ADR)×稼働日数」で算出した売上から、OTA手数料・清掃費・運営代行費・家賃・水光熱費・消耗品費を順に差し引き、最終的な手残り(利益)を計算する作業です。この記事では、売上の作り方から手残りの計算式、住宅宿泊事業の180日上限が売上に作る「天井」、物件タイプ別の試算例まで、一本の流れで追えるように解説します。読み終えれば、保守的な前提でも黒字が出る物件かどうかを自分で判断できるようになります。
民泊の収支は結局いくら残る?計算の全体像
結論から言えば、民泊の手残りは「売上 − 変動費 − 固定費」で決まり、売上はADR×稼働日数で作ります。最初にこの1本の式を頭に入れておくと、以降の判断がすべてこの数字に落ちます。
計算の順序は以下のとおりです。売上をつくってから、変動費(売上に連動する費用)と固定費(毎月一定の費用)を順に引いていきます。
STEP
- 1ADR(1泊あたり単価)× 稼働日数 = 月間の宿泊売上を計算する
- 2売上からOTA手数料(3〜18%目安)を引く
- 3清掃費(1回3,000〜8,000円目安)を予約組数分だけ引く
- 4運営代行を使うなら代行費(売上の15〜20%目安)を引く
- 5家賃・水道光熱費・通信費など毎月の固定費を引く
- 6消耗品・アメニティ費(1組あたり数百円〜)を引く
- 7残った金額が手残り(税引前利益)になる
数字を一つずつ当てはめて確認したい方は、民泊収支シミュレーターを使うと、必要な稼働率とADRの組み合わせが自動で見えます。
売上はいくらになる?ADR×稼働日数の考え方
売上は「ADR×稼働日数」だけで決まります。たとえばADR12,000円で月20日稼働なら、月間の宿泊売上は240,000円です。
ここで重要なのが「稼働日数」と「稼働率」の違いです。稼働率50%とは、営業可能な日のうち半分が埋まった状態を指します。30日営業可能なら15日、実際に予約が入る日数です。開業前の試算では、楽観的な80%ではなく保守的な50〜60%を前提に置くのが安全です。50〜60%で黒字が出るなら、実際の運営に余裕が生まれます。
ADRは立地・季節・部屋の広さで変動します。閑散期は繁忙期の6〜7割まで下がることも珍しくないため、年間を通した平均で見積もる必要があります。季節変動を織り込んだ試算は民泊・簡易宿所の月別収支12カ月モデルが参考になります。
住宅宿泊事業の180日上限は売上にどう影響する?
住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊は、年間の営業日数が180日を上限とすると定められています。これは稼働率をいくら高めても、年間の売上に「天井」があることを意味します。
たとえばADR12,000円で180日をすべて埋めても、年間の宿泊売上は2,160,000円が上限です。稼働率100%でもこれ以上は伸ばせません。ここから費用を引くと手残りはさらに小さくなるため、住宅宿泊事業だけで大きな利益を狙うのは構造的に難しいと理解しておくべきです。
この180日の壁を越えたい場合は、旅館業法の簡易宿所や特区民泊への切替という選択肢があります。営業日数の上限がなくなる一方で、設備要件や許可のハードルが上がります。切替による収支の変化は特区民泊→簡易宿所への切替で収支はどう変わる?で詳しく比較しています。なお、どの制度が使えるかは物件の用途地域や自治体の条例により異なるため、開業可否診断で事前に確認してください。
コスト項目はいくらかかる?変動費と固定費の内訳
費用は「売上に連動する変動費」と「毎月一定の固定費」に分けて把握します。以下が主な項目と目安です。金額はあくまで一般的な傾向であり、地域や物件により変わります。
費用項目 | 区分 | 目安金額 |
|---|---|---|
OTA手数料 | 変動費 | 売上の3〜18%(プラットフォームにより変動) |
清掃費 | 変動費 | 1回3,000〜8,000円(予約組数×) |
運営代行費 | 変動費 | 売上の15〜20% |
消耗品・アメニティ | 変動費 | 1組あたり数百円〜1,000円 |
家賃 | 固定費 | 物件により5〜20万円/月 |
水道光熱費 | 固定費 | 1〜3万円/月(季節変動あり) |
通信費(Wi-Fi等) | 固定費 | 5,000〜1万円/月 |
OTA手数料はAirbnb、Booking.com、楽天トラベル、じゃらんなど利用するプラットフォームで料率が異なります。清掃費はゲストに「清掃料」として一部転嫁できる場合もあり、実質負担を下げられます。清掃費の妥当性は清掃費シミュレーターで確認できます。
運営代行費は入れるべき?自分でやる場合との差
結論として、代行費は売上の15〜20%が目安で、これを払っても手残りが黒字なら委託を検討する価値があります。自主運営なら代行費はゼロですが、予約対応・ゲスト連絡・清掃手配・トラブル対応をすべて自分で行う必要があります。
たとえば月売上24万円なら、代行費は月3.6万〜4.8万円です。この金額と「自分の時間」を天秤にかけて判断します。遠隔地の物件や副業として運営する場合は、委託した方が総合的に得になるケースが多いです。代行費率別の損得は民泊管理委託は収支をどう変える?で試算例とともに解説しています。
自分でやるかプロに任せるか迷う段階なら、まず運営代行会社の無料紹介で複数社の条件を比較してみると、代行費の実勢がつかめます。稼働日数別の手残り差は週7日vs週末のみの年間収支シミュレーションも参考になります。
物件タイプ別の収支シミュレーション例
物件タイプごとに、保守的な稼働率(55%=月約16日稼働)を前提とした月次の試算例を示します。数値は一般的な傾向に基づく目安で、実際は立地・季節・運営体制で変動します。
項目 | ワンルーム(都市部) | ファミリー向け2LDK | 戸建て・貸別荘 |
|---|---|---|---|
ADR | 9,000円 | 18,000円 | 30,000円 |
稼働日数 | 16日 | 16日 | 16日 |
宿泊売上 | 144,000円 | 288,000円 | 480,000円 |
OTA手数料(15%) | -21,600円 | -43,200円 | -72,000円 |
清掃費 | -32,000円 | -48,000円 | -64,000円 |
運営代行費(18%) | -25,920円 | -51,840円 | -86,400円 |
家賃 | -70,000円 | -130,000円 | -180,000円 |
水光熱・通信・消耗品 | -25,000円 | -40,000円 | -60,000円 |
手残り(目安) | 約-520円 | 約-25,040円 | 約17,600円 |
この試算では、稼働率55%だとワンルームとファミリー向けはほぼトントン〜赤字、貸別荘のみわずかに黒字です。つまり保守的な前提では簡単には利益が出ないことがわかります。稼働率を70%に上げる、代行を使わず自主運営にする、清掃費をゲストに転嫁するなど、どの数字を動かせば黒字化するかを検証するのが収支シミュレーションの本質です。物件タイプ別の詳細はADR×稼働率の9パターン試算や貸別荘の収益モデルと収支シミュレーションもあわせてご覧ください。
投資回収まで含めた判断のしかた
月次の手残りが確認できたら、次は開業にかかった初期費用を何カ月で回収できるかを見ます。家具・家電・内装・許認可費用などの初期投資を、月次の手残りで割ると回収期間の目安が出ます。
たとえば初期費用150万円で月の手残りが3万円なら、回収に50カ月(約4年強)かかる計算です。初期費用の見積もりは開業費用シミュレーターで、回収期間の考え方は物件タイプ別3パターンの収益シミュレーションで確認できます。より詳しい前提や試算表は無料資料ダウンロードもご利用ください。
まとめ:保守的な前提で黒字を確認してから始める
民泊の収支シミュレーションは、「ADR×稼働日数」で売上をつくり、OTA手数料・清掃費・運営代行費・家賃・水光熱費・消耗品費を順に引いて手残りを出す、という一本の流れで完結します。住宅宿泊事業では年間180日の営業上限が売上の天井を作るため、稼働率を上げても限界があることを最初に理解しておく必要があります。
試算は必ず稼働率50〜60%の保守的な前提から始め、それでも黒字が出るかを先に確認してください。楽観的な数字で計画を立てると、閑散期に資金繰りが苦しくなります。なお、営業できる制度や設備・消防(消防法)の要件は自治体の条例により異なるため、開業前に必ず管轄の自治体や保健所の公式情報で確認しましょう。
※本記事は一般的な情報の整理であり、法令・条例の要件や市場の状況は地域・時期・物件により異なります。実際の開業・運営にあたっては、必ず管轄の自治体・保健所・消防署および専門家にご確認ください。
この記事の内容、プロに任せるという選択もあります
エリア・物件条件に合う民泊運営代行会社を、全国40社以上から中立の立場で無料でご紹介します。しつこい営業はありません。
この記事の内容を確認できる公式情報
制度の要件は自治体・時期により異なります。最新かつ正確な情報は、以下の一次情報でご確認ください。
- 民泊制度ポータルサイト(観光庁・厚生労働省)住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出制度
- 生活衛生関係(厚生労働省)旅館業法の許可・衛生基準
- 総務省消防庁消防用設備・防火管理の基準
- e-Gov法令検索法令の条文
「収支・経営」の関連記事
民泊の光熱費をゲストに転嫁する方法と損益・税務の比較
光熱費の「内包・定額加算・実費請求」3方式を損益シミュレーションと税務・OTA設定の観点から実務的に解説します。
民泊の最低泊数を2泊にすると収益はどう変わる?ADR・稼働率・清掃費で試算
最低泊数を1泊→2泊に変更した場合の収益への影響を、ADR・稼働率・清掃費の3軸で具体的に試算。判断の目安を数字で解説します。
Booking.com手数料は本当に15%?実質負担率をQ&Aで解説
「15%」と聞いて安心するのは早計。VATや通貨換算ロスを含めたBooking.com手数料の実質負担率をQ&A形式で徹底解説します。
民泊の損益計算書の作り方|月次PL雛形と勘定科目サンプル
OTA入金・清掃費・光熱費の正しい仕訳方法と、民泊向け月次損益計算書の雛形を勘定科目サンプル付きで解説します。
民泊の繁忙期だけ代行に切り替えるのは得か?混合モデルのコスト比較
繁忙期だけ運営代行を使う「混合モデル」は本当にお得?自主運営との費用差を試算し、判断基準をわかりやすく解説します。
民泊の収益が「1棟目」と「2棟目以降」で変わる理由|多棟化のスケールメリットを数字で解説
民泊を多棟化すると固定費・清掃費・OTA手数料がどう変わるか、スケールメリットが生まれる条件と収益の目安を具体的に解説します。
