民泊の退去後クリーニング代は経費になる?勘定科目と按分の判断基準
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民泊の退去後クリーニング代とは、ゲストがチェックアウトした後に行う室内清掃や原状回復にかかる費用の総称です。これらは事業の維持に不可欠なコストであり、原則として経費として計上できますが、費用の性質によって「清掃費」「修繕費」「消耗品費」など勘定科目が異なります。誤った仕訳は税務調査のリスクを高めるため、正しい判断基準を押さえることが重要です。この記事では、ケース別の仕訳パターン・按分の考え方・よくある迷いどころを具体的に解説します。
退去後クリーニング代は経費になる?基本的な考え方
結論から述べると、民泊事業のために支出した退去後のクリーニング代は、所得税法・法人税法上の「必要経費(損金)」として計上できます。民泊を住宅宿泊事業法に基づく届出または旅館業法に基づく許可を受けて運営している場合、ゲスト受け入れのための清掃は事業活動の一部であるため、費用と事業の関連性は明確です。
ただし、次の点には注意が必要です。
- 自宅の一部を民泊に使っている場合は、全額経費にならず「按分」が必要になります
- 修繕の規模や性質によっては、一時の経費ではなく資産計上(資本的支出)が求められる場合があります
- 家事費との混在がある支出は、事業部分のみを切り出す必要があります
これらのポイントを踏まえながら、費用の種類ごとに正しい勘定科目を選ぶのが基本的な考え方です。
勘定科目はどれを使う?清掃費・修繕費・消耗品費の使い分け
退去後に発生するコストは一括りに「清掃費」と呼ばれがちですが、税務上はその内容によって勘定科目を使い分けます。以下に代表的な費用と対応する勘定科目をまとめます。
費用の内容 | 勘定科目 | 補足 |
|---|---|---|
定期的な室内清掃(掃除機・モップがけ・水回り洗浄など) | 清掃費(または外注費) | 清掃業者への支払いは外注費でも可 |
クリーニング業者による本格清掃(ハウスクリーニング) | 清掃費(または外注費) | 領収書・請求書を必ず保存 |
シーツ・タオルのリネン洗濯・クリーニング代 | 清掃費(またはリネン費) | 消耗品費とする事業者もいる |
汚損・破損した壁紙・床の張り替え(小規模) | 修繕費 | 原状回復の範囲が目安 |
設備の大規模改修・グレードアップを伴う工事 | 資本的支出→減価償却 | 一時経費にはできない |
ゴミ袋・洗剤・スポンジなどの消耗品 | 消耗品費 | 1個・1セット単位で判断 |
アメニティ(シャンプー・石けん等)の補充 | 消耗品費(または衛生費) | 接客用消耗品として処理する場合も |
「清掃費」と「外注費」どちらを使うべきか
清掃業者やフリーランスの清掃スタッフに委託した場合、「清掃費」と「外注費」はどちらも使われますが、科目の使い方は事業者が自社の勘定科目体系に沿って統一することが重要です。清掃専用の補助科目を立てると、後から費用の推移を管理しやすくなります。なお、法人が個人に外注する場合は源泉徴収の要否も確認が必要です。
「修繕費」と「資本的支出」の境界線
修繕費は原状回復・維持管理のための支出であり、全額をその年の経費にできます。一方、資本的支出は建物や設備の価値を高める・耐用年数を延ばすための支出であり、固定資産として計上して減価償却する必要があります。一般的な目安として、1回の工事が20万円未満であれば修繕費として処理できる場合が多いとされていますが、金額だけでなく工事の性質が判断の軸です。壁紙の一部張り替えは修繕費、全室を高品質素材に全面リノベーションするなら資本的支出と考えるのが原則です。判断に迷う場合は税理士への相談をお勧めします。
自宅兼民泊の場合の按分はどう計算する?
自宅の一部を民泊に使用している場合、清掃費などは民泊に使っている面積・使用期間の割合で按分し、事業用部分のみを経費に計上します。家事関連費の按分は所得税法上の規定に基づく考え方であり、恣意的な按分は税務上問題となるため、客観的な根拠を持つ方法で計算することが重要です。
按分方法①:面積按分
最もシンプルな方法です。民泊に使用している部屋の床面積を、建物全体の床面積で割った割合を経費に乗じます。
- 建物全体の床面積:80㎡
- 民泊として貸し出している部屋の面積:20㎡
- 按分割合:20 ÷ 80 = 25%
- 清掃費の請求額が40,000円なら → 40,000円 × 25% = 10,000円を経費計上
ただし、廊下・玄関・水回りなどの共用部分をゲストも使う場合は、その按分比率に共用部の一定割合を加算して調整する方法もあります。自治体や税務署の解釈によっても異なるため、担当税理士に確認することをお勧めします。
按分方法②:稼働日数按分
年間を通じて民泊に使っていない期間がある場合(シーズン運営や住宅宿泊事業法の年間180日制限など)は、稼働日数ベースの按分も有効です。
- 年間稼働日数:120日
- 按分割合:120 ÷ 365 = 約32.9%
なお、住宅宿泊事業法では年間提供日数の上限が180日(条例によってはさらに短い場合あり)と定められているため、按分の根拠が自ずと明確になるケースもあります。
面積按分と稼働日数按分の組み合わせ
自宅の一室を年間のうち一部期間だけ民泊提供している場合は、面積按分と稼働日数按分を組み合わせて按分割合を算出するのが合理的です。按分計算の根拠は帳簿・予約記録とともに保管しておくと、税務調査の際に説明しやすくなります。
ケース別の仕訳例:迷いやすいシーンを解説
ケース①:清掃業者に1回5,000円支払った(専用物件)
民泊専用物件であれば按分は不要です。全額を経費計上できます。
- 借方:清掃費 5,000円 / 貸方:現金(または普通預金)5,000円
ケース②:自宅の一室(全体の30%)をゲストが汚損し、壁紙を15万円で張り替えた
壁紙の張り替えは修繕費の範囲(原状回復)ですが、自宅兼用のため按分が必要です。
- 経費計上額:150,000円 × 30% = 45,000円
- 借方:修繕費 45,000円 / 貸方:普通預金 150,000円
- 借方:事業主貸 105,000円(家事費部分)
なお、ゲストの故意・過失による損害でゲストから弁償を受け取った場合は、受取金額を「雑収入」や「受取損害賠償金」として計上します。弁償受け取り分と修繕費を相殺して差額だけ計上する処理は税務上望ましくないため、収入と費用を両建てで記帳するのが原則です。
ケース③:シーツ・タオルをコインランドリーで洗濯(自分で実施)
コインランドリー代の実費は清掃費または消耗品費として計上できます。セルフで行う場合でも実費は経費になります。ただし自分の人件費(専従者給与として処理する場合を除く)は計上できない点に注意が必要です。
- 借方:清掃費(またはリネン費)500円 / 貸方:現金 500円
ケース④:アメニティセットをまとめ買いした(50セット、合計25,000円)
使い切り型のアメニティは消耗品費として一括計上できます。まとめ買いでも、期末に在庫が残る場合は「貯蔵品」として資産計上し、使用した分だけ費用化するのが本来の処理です。ただし金額が少額であれば継続適用を条件に購入時一括計上も認められる場合があるため、税理士に方針を確認しておくとよいでしょう。
ケース⑤:バスルームを全面リフォーム(工事費80万円)
バスルーム全面リフォームのように設備の価値を高める工事は、修繕費ではなく資本的支出として建物附属設備等に資産計上し、耐用年数にわたって減価償却します。全額をその年の経費にはできません。なお、修繕費か資本的支出かは金額・工事内容・目的を総合的に判断するため、金額が大きい場合は必ず税理士と相談してください。
清掃代をゲストから受け取ったときの処理は?
Airbnbや楽天トラベルなどのOTAでは、予約時にゲストから「クリーニング費用」を別途徴収できる仕組みがあります。ゲストから受け取るクリーニング費用は宿泊売上の一部として収入計上する必要があります。清掃費用をゲストに実費転嫁している場合でも、受け取った金額は収入であり、実際に支払った清掃費は費用として別途計上する二段構えの処理が正しい処理です。
たとえば、ゲストからクリーニング費として3,000円受け取り、清掃業者に5,000円支払った場合の処理は次のとおりです。
- 収入:売上(クリーニング費)3,000円
- 費用:清掃費 5,000円
- 差引:△2,000円(実質的な清掃コスト負担)
OTAの管理画面や振込明細では、クリーニング費が宿泊料と合算されて表示される場合も多いため、予約ごとの内訳を記録・保存しておくことが重要です。
経費管理を楽にするための実務ポイント
証憑(領収書・請求書)は必ず保存する
清掃費は少額の支払いが積み重なるため、領収書の管理がおろそかになりがちです。現金払いが多い場合は、清掃スタッフに領収書を発行してもらう習慣をつけるか、銀行振込・キャッシュレス決済に切り替えることで、記録が自動的に残るようにしましょう。電子帳簿保存法に基づく電子保存のルールも年々厳格化しているため、最新の要件を確認してください。
勘定科目を統一して継続適用する
「清掃費」と「外注費」を混在させるなど、同じ性質の費用を毎年バラバラの科目に計上するのは避けましょう。科目を決めたら毎年同じルールで処理する「継続適用の原則」が税務上重要です。開業時にルールを決めておくと後の修正作業が減ります。
清掃代の見積もりと収支を事前に確認する
清掃費は物件の規模や立地によって大きく異なります。開業前に清掃コストの目安を試算しておくと、収支計画の精度が上がります。清掃費シミュレーターを使えば、物件の広さや清掃頻度をもとに年間コストの目安を確認できます。また、収支全体のバランスを把握したい方は民泊収支シミュレーターも合わせてご活用ください。
清掃業務をプロに任せるという選択肢
清掃のたびに業者を手配し、費用の記録・仕訳まで自分で管理するのは手間がかかります。運営代行サービスを利用すれば、清掃手配から収支管理まで一括して委託でき、経費の記録も整理しやすくなります。手間や管理ミスのリスクを減らしたい方は、運営代行会社の無料紹介をご利用ください。物件の規模や条件に合った代行会社を紹介しています。
まとめ
民泊の退去後クリーニング代は、事業との関連性が明確であれば経費として計上できます。重要なポイントを整理します。
- 定期清掃・ハウスクリーニングは「清掃費」または「外注費」で計上する
- 原状回復目的の修繕は「修繕費」、価値向上を伴う工事は「資本的支出」として減価償却する
- 消耗品(洗剤・アメニティ等)は「消耗品費」で計上する
- 自宅兼用の場合は面積・稼働日数などをもとに客観的な根拠で按分する
- ゲストから受け取るクリーニング費は収入として計上し、費用と相殺しない
- 証憑は種別ごとに整理して保存し、勘定科目は継続適用する
按分割合の設定や修繕費・資本的支出の判断は、自治体や税務署の解釈によって異なる場合もあります。金額が大きい場合や判断に迷う場合は、必ず税理士に相談のうえ処理方針を決めてください。開業前の費用試算には開業費用シミュレーターも活用し、税務・コスト管理をしっかり整えて運営をスタートさせましょう。
※本記事は一般的な情報の整理であり、法令・条例の要件や市場の状況は地域・時期・物件により異なります。実際の開業・運営にあたっては、必ず管轄の自治体・保健所・消防署および専門家にご確認ください。
この記事の内容、プロに任せるという選択もあります
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この記事の内容を確認できる公式情報
制度の要件は自治体・時期により異なります。最新かつ正確な情報は、以下の一次情報でご確認ください。
- 民泊制度ポータルサイト(観光庁・厚生労働省)住宅宿泊事業法(民泊新法)の届出制度
- 生活衛生関係(厚生労働省)旅館業法の許可・衛生基準
- 総務省消防庁消防用設備・防火管理の基準
- e-Gov法令検索法令の条文
監修・執筆
民泊開業ラボ 編集部
民泊開業ラボ 編集部
民泊・小規模ホテルの開業と運営の実務情報をお届けします。
よくある質問
自宅兼民泊の場合の按分はどう計算する?
清掃代をゲストから受け取ったときの処理は?
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