収支・経営

民泊の最低宿泊料金はいくら?赤字にならない1泊単価の逆算方法

2026.08.17

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民泊の最低宿泊料金はいくら?赤字にならない1泊単価の逆算方法

民泊の最低宿泊料金とは、1泊あたりの変動費・固定費・OTA手数料をすべて回収できる「損益分岐点単価」のことです。この金額を把握しないまま感覚でプライシングをすると、稼働率が上がっても利益が残らない「忙しいのに赤字」という状態に陥ります。この記事では、コスト構造を3つのレイヤーに分解し、最低販売単価を逆算する考え方と数字の目安を解説します。

なぜ「最低単価」を先に計算するのか?

多くの開業者は「相場より少し安くすれば予約が入る」と考えてスタートします。しかし相場価格が自分のコスト構造をカバーしているかどうかは別問題です。エリアや物件によってコストは大きく変わるため、他物件の料金をそのまま参考にすると慢性的な赤字につながりかねません。

最低単価を先に計算する目的は2つです。①これ以上は下げられない「床」を知ること、②そこからどれだけ上乗せできるかでプロフィットを設計すること。民泊収支シミュレーターを使えば、入力した費用から損益分岐点を自動で確認できます。

コスト構造は3つのレイヤーで考える

民泊のコストは「変動費」「固定費」「OTA手数料」の3層に分かれます。それぞれを1泊あたりの金額に換算することが逆算の出発点です。

レイヤー①:変動費(1泊ごとに発生するコスト)

費目

目安(1泊あたり)

清掃費(1〜2人分の人件費込み)

3,000〜8,000円

リネン・タオル洗濯または交換

500〜2,000円

消耗品(アメニティ・トイレットペーパー等)

200〜500円

水道光熱費(滞在1泊分の変動部分)

300〜800円

変動費の合計目安は、1泊あたり4,000〜11,300円です。清掃費が最大の変動費であり、広さや依頼先によって大きく変わります。清掃費の詳細な目安は清掃費シミュレーターで物件条件を入力して確認してください。

レイヤー②:固定費(稼働率に関係なく毎月かかるコスト)

費目

目安(月額)

家賃(または住宅ローン返済額)

50,000〜200,000円以上(物件による)

管理費・共益費

5,000〜30,000円

インターネット回線

3,000〜6,000円

民泊保険(住宅宿泊事業法対応型等)

2,000〜5,000円

予約管理システム・サーチャネルマネージャー

3,000〜15,000円

税理士・行政書士等の専門家費用(年額を月割り)

3,000〜10,000円

固定費の月額合計は物件により大きく異なりますが、一般的な参考値として月70,000〜270,000円程度になることが多いです。これを稼働日数で割って1泊あたりに換算します。

固定費の1泊換算例
月固定費:120,000円 ÷ 月間稼働日数:20日 = 1泊あたり6,000円

稼働率が下がると1泊あたりの固定費負担が増えるため、「稼働率が低い時期は料金を下げすぎない」という逆転の発想が重要です。

レイヤー③:OTA手数料(受け取り金額から引かれるコスト)

OTA(オンライン旅行代理店)は、プラットフォームによって手数料の構造が異なります。ホストから徴収されるケースでは、販売価格の3〜20%程度が手数料として差し引かれることが一般的です。Airbnbのようにゲスト側に手数料を上乗せする仕組みの場合でも、ホスト側に一定の手数料が発生します。各OTAの最新手数料は必ず公式サイトで確認してください。

手数料の影響例
販売価格:10,000円 × 手数料15% = 実収入:8,500円
この差額1,500円が計算に入っていないと、見かけ上の収入と実際の入金額がずれます。

最低単価はいくら?逆算の公式

最低販売単価は、次の計算式で求められます。

最低販売単価 =(変動費 + 固定費÷稼働日数)÷(1 − OTA手数料率)

具体的な数字を当てはめてみます。

項目

今回の前提値

変動費(1泊)

7,000円

固定費÷稼働日数(1泊あたり)

6,000円

OTA手数料率

15%

(7,000 + 6,000)÷(1 − 0.15)= 13,000 ÷ 0.85 ≒ 15,300円

この前提では、1泊15,300円未満で販売すると赤字になります。エリアの相場がこれを下回っている場合、固定費の圧縮(より安い物件への移行や稼働日数の拡大)か、変動費の見直しが必要です。

自分の物件で数値を変えて試算したい場合は、民泊収支シミュレーターを活用してください。

稼働率が変わると最低単価も変わる?

はい、稼働率が下がると最低単価は上がります。固定費は稼働日数が少ないほど1泊あたりの負担が重くなるためです。

月間稼働日数

固定費120,000円÷稼働日数

最低単価(変動費7,000円・手数料15%で計算)

25日

4,800円

約13,900円

20日

6,000円

約15,300円

15日

8,000円

約17,600円

10日

12,000円

約22,400円

住宅宿泊事業法(民泊新法)では年間提供日数の上限が180日と定められているため、多くの物件では月平均15日程度しか稼働できないケースがあります。その場合、最低単価が思った以上に高くなることを念頭に置いてください。自治体によっては上限がさらに短い場合もあるため、所轄の窓口に確認することをおすすめします。

OTA手数料以外に見落としがちな「隠れコスト」は?

損益計算でよく見落とされる費目が3つあります。これらを含めないと、実際の最低単価が過小評価されます。

  • クレジットカード決済手数料:OTA経由であればOTA側が処理しますが、自社予約サイトを持つ場合は別途2〜4%程度かかります。
  • 設備修繕・備品補充の積立:家電の故障やベッドマットの交換などは不定期に発生します。月5,000〜15,000円程度を積み立てておくのが現実的です。
  • 自分の時間コスト(機会費用):ゲスト対応・予約管理・清掃手配などに費やす時間を時給換算すると、月に1〜3万円相当になることも珍しくありません。

特に自分でゲスト対応や清掃管理を行っている場合、その時間コストを意識しないと「手間に見合わない単価」で運営し続けることになります。運営の手間を減らしてプロに任せるという選択肢については、運営代行会社の無料紹介ページで各社のサービス内容と費用感を比較できます。

最低単価を決めたあとの料金設計はどうする?

最低単価はあくまで「下限の床」です。実際の販売価格はこの床に利益マージンを乗せて設定します。一般的な目安として、最低単価の1.2〜1.5倍を通常期の販売価格の起点にすると、繁忙期のアップセルと閑散期の値引き余地の両方を確保できます。

  • 平日・閑散期:最低単価 × 1.1〜1.2(利益は薄くなるが稼働率優先)
  • 週末・通常期:最低単価 × 1.3〜1.5(標準的な利益を確保)
  • 連休・繁忙期:最低単価 × 1.8〜3.0以上(動的料金で市場に合わせる)

閑散期に最低単価を下回る価格に設定してしまうと、稼働すればするほど赤字が拡大します。「空室より低単価の予約の方がまし」という直感は、変動費が低い場合に限って正しく、変動費(特に清掃費)が高い場合は逆効果になることがあります。

料金設計を始める前に開業費用シミュレーターで初期投資の回収期間も合わせて把握しておくと、プライシング戦略全体の整合性が取りやすくなります。

まとめ

民泊の最低宿泊料金は「変動費 + 固定費÷稼働日数」をOTA手数料率で割り返すことで逆算できます。この記事のポイントを整理します。

STEP

  1. 1変動費(清掃・リネン・消耗品・光熱費)を1泊単位で把握する
  2. 2固定費を月間稼働日数で割って1泊あたりに換算する
  3. 3OTA手数料率を「1から引いた値」で割ることで、必要な販売価格を求める
  4. 4住宅宿泊事業法の180日上限など稼働制限が最低単価に大きく影響することを理解する
  5. 5設備修繕積立・時間コストなど「隠れコスト」も必ず計算に含める

「感覚の相場」ではなく「自分のコスト構造から導いた最低単価」を起点にすることが、持続可能な民泊運営の第一歩です。法令要件や許認可条件は自治体によって異なるため、開業前に必ず所轄の窓口や専門家に確認するようにしてください。

※本記事は一般的な情報の整理であり、法令・条例の要件や市場の状況は地域・時期・物件により異なります。実際の開業・運営にあたっては、必ず管轄の自治体・保健所・消防署および専門家にご確認ください。

この記事の内容、プロに任せるという選択もあります

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この記事の内容を確認できる公式情報

制度の要件は自治体・時期により異なります。最新かつ正確な情報は、以下の一次情報でご確認ください。

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監修・執筆

民泊開業ラボ 編集部

民泊開業ラボ 編集部

民泊・小規模ホテルの開業と運営の実務情報をお届けします。

よくある質問

なぜ「最低単価」を先に計算するのか?
多くの開業者は「相場より少し安くすれば予約が入る」と考えてスタートします。しかし相場価格が自分のコスト構造をカバーしているかどうかは別問題です。エリアや物件によってコストは大きく変わるため、他物件の料金をそのまま参考にすると慢性的な赤字につながりかねません。 最低単価を先に計算する目的は2つです。①これ以上は下げられない「床」を知ること、②そこからどれだけ上乗せできるかでプロフィットを設計すること。民泊収支シミュレーターを使えば、入力した費用から損益分岐点を自動で確認できます。
稼働率が変わると最低単価も変わる?
はい、稼働率が下がると最低単価は上がります。固定費は稼働日数が少ないほど1泊あたりの負担が重くなるためです。 月間稼働日数
OTA手数料以外に見落としがちな「隠れコスト」は?
損益計算でよく見落とされる費目が3つあります。これらを含めないと、実際の最低単価が過小評価されます。 クレジットカード決済手数料:OTA経由であればOTA側が処理しますが、自社予約サイトを持つ場合は別途2〜4%程度かかります。設備修繕・備品補充の積立:家電の故障やベッドマットの交換などは不定期に発生します。月5,000〜15,000円程度を積み立てておくのが現実的です。自分の時間コスト(機会費用):ゲスト対応・予約管理・清掃手配などに費やす時間を時給換算すると、月に1〜3万円相当になることも珍しくありません。
最低単価を決めたあとの料金設計はどうする?
最低単価はあくまで「下限の床」です。実際の販売価格はこの床に利益マージンを乗せて設定します。一般的な目安として、最低単価の1.2〜1.5倍を通常期の販売価格の起点にすると、繁忙期のアップセルと閑散期の値引き余地の両方を確保できます。 平日・閑散期:最低単価 × 1.1〜1.2(利益は薄くなるが稼働率優先)週末・通常期:最低単価 × 1.3〜1.5(標準的な利益を確保)連休・繁忙期:最低単価 × 1.8〜3.0以上(動的料金で市場に合わせる)

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